論文公開
研究番号
全国がん登録を用いたがん患者の自殺、心血管死の実態調査の研究計画

がん患者はがんの罹患に伴い強い心理的苦痛を経験し、うつ病などのリスクが高いことが報告されています。また、海外では、がん患者の自殺リスクは一般人口よりも高いことやがん診断から期間が短いほど自殺や心血管死のリスクが高いことが報告されていますが、わが国における全国的な実態は明らかになっていませんでした。2016年に開始された全国がん登録では、がん患者の情報の届出がすべての病院の義務となり、がん患者の罹患・死亡に関する情報を国のデータベースで一元管理することが可能となりました。本研究はこの全国がん登録情報を利用し、わが国全体のがん患者の自殺、自殺以外の外因死(事故死など)、心血管死の実態やリスク因子を明らかにする分析を行いました。
【研究方法】
全国がん登録データを用いて、2016年1月1日から12月31日の間に日本で診断されたがん患者を2年間追跡し、①自殺、②自殺以外の外因死、③心血管疾患で亡くなった方を同定し、一般人口で予想される死亡数(人口動態調査死亡票のデータから算出した性別・年齢ごとの死亡率を利用し算出)と比較してがん患者の死亡リスク(標準化死亡比)を算出しました。
【結果】
自殺、自殺以外の外因死、心血管疾患のいずれにおいても、診断後0-1ヶ月において特に高値であり(自殺は4.40倍、外因死は2.27倍、心血管死は2.38倍)、診断後2年経過した時点でも依然として一般人口よりは高い状態であることが明らかになりました。また、多変量解析により、いずれの死因に関しても進展度が高いほど、リスクも高いことが明らかになりました。

*図は発表論文より引用
【結論】
わが国全体におけるがん患者さんの自殺や心血管死の実態を明らかにすることができた。
- 研究課題
- 全国がん登録を用いたがん患者の自殺に関する記述疫学的研究
- 研究番号
- 承認審査なし
- 承認日
- 領域
- 気持ちのつらさ
- 対象
- 対象期間に日本でがんと診断されたがん患者
- 目的
- わが国全体のがん患者のがん診断2年以内の自殺や心血管死のリスクを明らかにすること
- アウトカム
- 自殺、自殺以外の外因死、心血管死による死亡
- デザイン
- 観察研究
- 責任研究者
- 藤森麻衣子
- 研究費
- 平成30年度革新的自殺研究推進プログラム委託研究「がん医療における自殺ならびに専門的・精神心理的ケアの実態把握」(課題番号:1-2)
- 論文一覧
Kurisu K, Fujimori M, Harashima S, Akechi T, Matsuda T, Saika K, Yoshiuchi K, Miyashiro I, Uchitomi Y. Suicide, other externally caused injuries, and cardiovascular disease within 2 years after cancer diagnosis: A nationwide population-based study in Japan (J-SUPPORT 1902). Cancer Med. 2023 Feb;12(3):3442-3451. doi: 10.1002/cam4.5122.
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